はじめに
オールドレンズと言えば?
こんな質問を投げかけたら各方面からいろんなレンズが飛んできそうですが、、、
ロシアンレンズでオススメある?と投げかけると「Helios 44-2 58mm F2」の名前が出てくることはそう珍しいことではないでしょう。
M42マウントという互換性の高さ、クセが強く手頃な価格で取引されている、こういった観点から多くの層に名が知れ渡っているレンズと言って間違いないでしょう。
今回はそんな有名なレンズを紹介、というわけではなく、一手間加わったなかなか珍しい改造Helios 44-2 58mm F2を手に入れたので、その存在の紹介と実際のところをレビューしてみたいと思います。
外観とその特異性
さて外観から見ていきたいと思うのですが、外装には特段これといった通常のHelios 44-2との違いは見受けられません。
レンズ全面のロゴマークはジュピター・バルダイ光学機械工場(JUPITER VALDAI OPTICAL PLANT)で生産されたことを示すものになっています。
ロシアンレンズには、製造された工場がわかるようになっているロゴが工場ごとに用意されていたようで非常に興味深いです。まだまだ深く調べられていないのであまり深く言及しないようにしておきます。
さて絞り羽は何枚かな〜?なんて覗き込むと、あれれ?レモン型の絞りのような何かが、
そうなのです、このレンズの一番の特徴は絞りが改造されているというところなのです。
真ん中には透明なラインが一本入っていまして、それによって強い点光源等から真っ直ぐな線が出るような改造が施されています。これをなんという改造と呼ぶのかはわかりませんが、シネレンズのアナモフィックスレンズを模した改造のようです。日本語の文献はネットでは見つからず、英語で”Lenses cine modification”と検索すると同様のものが何件か見つかりました。前側のリングを回転させると改造された部分が回転します。回転することによって、中心の透明な棒の向きを変えてその効果を得る仕組みとなっているようです。
作例
さて作例を見ていきたいと思います。
このレンズの特性を活かすために強い点光源を探しながら撮影をしてみました。
1枚目のショットですが、朝一番の強い横からの光が一点に集まる場所を探しファインダーを覗き込みました。先述の絞りリング手前のリングをぐりぐり回しながら、線がいいところになるところで止めシャッターを切りました。
「ボケの形もレモン型でフレアもいい感じに。何よりもこの線が唯一無二。」
当日はPentax SVとこのレンズの組み合わせだったのですが、炎天下の中持病のミラーアップが頻発してしまったこともあり、断定できないのですが多重露光になってしまったのでしょうか?それとも内反射なのでしょうか?写真下半分がギラギラしています。ピント面の酒樽はしっかりと解像しつつも、光源からの光線やギラギラとした表現。なかなか他のレンズでは出せない面白い一枚だと思います。
しかし逆光は逆光でも光源を入れなければ線は出ず、改造されていないHelios 44-2と変わらない描写をしてくれます。曇り玉だからでしょうか?コントラストは低めの印象を受けます。
あまり凝った作例がなくて申し訳ないのですが、このレンズの特異性と素性の良さが伝われば幸いです。
最後に
このレンズは新宿のとある中古屋さんにて一万円以下で入手することができました。無改造のヘリオスに対して改造ヘリオスは、場合によっては保証ができない等の理由や、改造がされているのでジャンク扱いになっていることも多く、意外と狙い目なのかもしれません。ぜひ皆さも探されてみてください。
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