LC-A+ その3 -多々買わなければ、生き残れない!-

執筆者:青狐

 多々買え…多々買え…

はじめに

 このブログにたどり着いたということは、おそらくオープンチャットから誘(いざ)われたことが原因だと思う。そして、きっとトイカメラに少なからず関心を持っていただいている諸兄諸姉は、これらの記事に目を通されることと思う。几帳面な皆様の事だ、きっと隅々まで読んでいただくのだろう。そして文章を読んだあとの感想は、「なんだこれ…」だろう。きっとすべてが今まで見てきた世界とは全く異なる、正反対の価値観・描写は、さながら鏡の中の世界のような…そんな錯覚さえ覚えるだろう。

 例えばこんな話がある。デジタルでそれなりにやってきたので、本格的にフィルムカメラを始めたいと思った矢先。かわいらしいが独特な写りをするカメラをネットの海で勧められる。フィルム初心者向け、とか、今時新品で買える数少ないフィルムカメラだ、とか、そういう甘言を聞き流しつつ、なんとなく青い狐の書いた記事のページへアクセスする。するとどうだろう。今まで自分が撮ってきた写真とは、似ても似つかないくらい粗く、色も構図も滅茶苦茶で、世界がダブっているような、しかも主題・副題もよくわからない、そんな作例をいくつも目の当たりにするだろう。きっと一読した皆様は困惑するはずだ。と同時に、ふつふつと優越感に似た感覚さえ覚えるだろう。なんだこれは…。明らかに自分がいままで撮ってきた写真の方が上手じゃないか…。ひとしきり見終わった後、いったんページを閉じる。そして日々の喧騒の中へいったん戻る。しかし、なぜか、なぜだかあれらの写真をふとした瞬間に思い出す。そしてもう一度これらの記事を見直す。理由はわからないが、いつかの夢で見た景色なのか、あるいはそれに近い色使いなのか。

 おめでとう、そしてようこそ…あなたはもうその時から、こちらの世界の『住人』なのだ。

 筆者の占いは当たる。

アタッチメントレンズ

レンズの回りに磁石のシールを貼る。よく剝がれるので注意
こんな購買意欲をそそる箱に入っている

 公式によると、LC-Aのアタッチメントレンズは全部で3種類。ひとつは、Tunnel Vision Lens。四隅の光量落ちによる演出およびマクロ撮影を楽しむためのレンズ。もうひとつはFisheye Lens。文字通り、魚眼(Fisheye)レンズ。そしてもうひとつは、広角レンズ。別売のファインダーを組み合わせて使う。通常のLC-A+は32mmだが、これを20mm程度まで広げるのだ。

 今回、この記事で紹介するのは、このうちのTunnel VisionとFisheye。なぜ広角だけないのかというと、単に今手元にない(執筆後補記:執筆期間中、公式HPに瞬間的に在庫が復活したため現在オーダー中。)、というのがメインの理由だが、そもそも作例を見てもなにかこう、視覚的にほか2つを超える面白い要素が特にないので今回は割愛した。(愛用者の皆様、申し訳ない。)

Tunnel Vision。新たなる深みへ…

 レンズキャップとリアキャップが本当にただのフタでござい、って感じのデザイン。そして先に紹介した広角レンズのように、専用ファインダーが存在しない。そもそもくっつけるのも付属の磁石シールで貼っ付けるだけ。結構ぽろぽろ落ちるんじゃあないのかこれ…と使い始めは思っていたけど、案外磁石が強いのでそんな簡単に落ちない。そして、キチンとこのレンズと本体レンズの真ん中をしっかり合わせにいかないと、本来の効果も出ないとかいう無茶苦茶クセのある玉となっている。しかし、前回、筆者のLC-A+に不思議な事が起こった際に進化したチェキバックのような、四隅が周辺減光で黒くなっているような絵は、この時代においてむしろ貴重なのではないか…?とも筆者は考える。

単なるアクセサリーレンズで終わらないのは本当に素晴らしい遊び心

 こういう、単一のアクセサリーパーツで終わらないのがLomographyのニクいところ。なんとこのレンズ、前玉をクルクル回していくと、マクロレンズとしても使用できる優れもの。最短撮影距離が公式で2cm程度の距離で撮影可能、とのことらしいが、後ほど紹介する作例から見て取れるように、使いこなすにはコツと時間がいりそうだ。

魚眼レンズは一回り大きい
付けると結構見た目のインパクトがデカい

 続いて魚眼レンズ。前はフラットになっている。ただし、ものすごくせり出した形となっており、ググっと前に突き出しているのが特徴。こちらも磁石でくっついているだけのアクセサリーレンズ。同様に、接着力は相応に認められる。どうやら、このレンズは若干撮影距離が短くなる効果もあるようだが、筆者はまだその恩恵にあずかれていない。

Tunnel Vision Lens

 さて、それでは作例を紹介していく。なお、今回の作例は2021/11/3に行われた臨時のフォトウォーク(以下PW)の記録から抽出したものを使用する。使用機材はLC-A+のみ、レンズは今回の主題である2つのレンズ、フィルムはPortra160を詰めた。参加者からは「真冬に暖房をガンガン効かせた部屋でコタツ入りながら○ーゲンダッツを食うくらい贅沢」、と評されたが、トイカメラだからといってそうしたフィルムを詰めてはいけない、というルールは当然ないわけで…。ご参加された皆様には、改めて感謝申し上げたい。

LC-A+(Tunnel Vision Lens), Portra160, 日暮里駅北口付近の線路を一望できる場所
LC-A+(Tunnel Vision Lens), Portra160, 谷中と言えばネコ…ということで撮影した一枚
LC-A+(Tunnel Vision Lens), Portra160, 谷中銀座通り。緊急事態宣言解除もあってか、かつての賑わいを取り戻しつつある
LC-A+(Tunnel Vision Lens), Portra160, お互いを撮りあう、PWならではの光景

 今回もまた、多重露光を繰り返した。多重露光の魅力を語るには筆者は力量不足であり割愛するが、やはり世界の時間というか、通り過ぎ去ったもの同士を重ねる行為はなんとなく面白いなと思う。

 作例をご覧いただくとお分かりいただける通り、筆者はほぼこのレンズを使うとき、日の丸構図(日の丸構図…画面中央に主題を置く構図。人によっては嘲笑するらしいが、個人の感想は人を傷つけない限り表明自体は自由なのでセーフ。そもそも笑うヤツがどんだけ上手なんかって話だけどそれは人間性の話であり別次元。)で撮っていた。それは、従前に作例を公式で拝見し、効果を前もって知ってしまっていたからである。やはりこうなったか…と現像後、若干の後悔、というか反省をした。とはいえ、周辺減光(かケラレ?)や中央以外のゆがみも相まって、画像の消失点(消失点…すごくわかりやすく言うと、パース線が集約する一点。詳しくはお手元の端末で検索してみてほしい。)が中央に集まるので、主題を中央に置きたくなる気持ちにはなる。こればっかりは実際に使用してみないとわからないが、とにかく、幼き頃にカメラを持ったときの、被写体を真ん中に持ってきたくなる気持ちに戻れる。童心回帰レンズというべきか。まあ効果が一番わかりやすく出るので…というのが真相。

LC-A+(Tunnel Vision Lens), Portra160, 現代アート?

 これは、読み解くのに事前の知識や教養が強要される(激寒)、現代アート…ではない。マクロレンズで本当に2cm程度のところに被写体を置いて撮影した一枚。より正確に言えば、LC-A+側でピントを80cmのところにセットしたうえでマクロレンズをセットし、撮影した。残念ながら、元のビーズすくい放題のつぶつぶは一切写らず、代わりに、なにかこう、直視してはいけない、もし見たらSAN値が急降下するようなものが写っているのではないか、という宇宙の深淵への想像力を掻き立てる一枚となった。素晴らしいピンボケ写真。

Fisheye Lens

LC-A+(Fisheye Lens), Portra160, よく見ると服の中にもう一人写っている
LC-A+(Fisheye Lens), Portra160, くす玉。元酒屋だったようだが…今は閉店している
LC-A+(Fisheye Lens), Portra160, 根津神社の鳥居。やっぱり多重露光しちゃう筆者

 文字通り、魚眼レンズ。ただし、このレンズは、一眼レフの交換用レンズとして販売されている魚眼レンズとは異なり、超広角レンズ、というわけでもなく、人為的に四隅を暗くしている、いわゆるケラレを出して丸く写しているのではないか…?と思う。肝心の写りについてはまずまずで、中央の解像度はやはり高いと思う。端はゆがみが生じているが、それも味。あと副次的な効果として、カメラのバランス勘案、なんか大きい!とテンションは上がる。

入手例

 当然のように、公式ではもはや在庫なしとの表記。公式に問い合わせても、現在は生産停止しておりますとの回答。こちらも、チェキバック同様、中古市場で入手するしかなさそうだ。そもそもほとんど出回ってないんじゃあないか…と不安になったので各種サイトを検索してみたが、空振り。もしこちらのアイテムを見かけたならば、発見即買いをすべきだろう。

おわりに

 前回紹介しそびれたガジェットとは、これらのこと。筆者の作成体力や、より最新の作例を紹介する意図で、きちんと別に記事を分けておきたかった。

 LC-A+はこの通り、外付けパーツが多い。PENTAXが誇る機械式フィルム最上位機種のLXも、非常に多くのアタッチメントパーツがある。結局のところ、こうした付属パーツが多いほうが、所有欲…もとい、そのカメラの撮影の幅を広げるので、より愛着がわくというものだ。

 しかし、一度この沼に入ったが最後。あとはもう行きつくところまで行くしかない。そもそも、沼人ってのはさ、沼人になろうとした瞬間に、失格なのよ、という声も聞こえてくる。ちなみに筆者は当時、「戦いを止める」に応募したが、戦いを続けることが当時の総意だったこともあり、当時は人間の欲望は本当に恐ろしいのだなぁ、と思った。しかし、時が経つにつれ、本当に恐ろしいのは人間の怖いもの見たさ、もっと言えば「自分には関係ないけどそっちの結末を見たい」と思える人間の本質が怖いなぁ、と思った。結局、多々買わなければ生き残れないのは、どこも一緒なのだ。

 この戦いに正義はない。そこにあるのは純粋な願いだけである。その是非を問えるものは……

 トイカメラはあなたを自由にする。

 どうかよいカメラライフでありますように。

 多々買え…多々買え…

この沼に住む人
青狐

レンズ沼、カメラ沼に誘い込む狐。フィルムで多重露光大好き。ピンボケ、露出オーバー・アンダーなんでもござれ。

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執筆者:青狐
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カメヌマ

コメント

  1. […] 例えば、前々回に紹介したインスタックスバックや、前回紹介したアタッチメントレンズを組み合わせることで、通常ではありえない撮影や写真を生み出すことができる。もっとも、マジな話をするとその組み合わせは偶然の産物ではなくあらかじめ商品展開が決まっていたのでそのような「仕様」にできる、という風に言い切ることもできるが、足元の問題はそのアタッチメントすら見つけるのが難しい(筆者調べ)。 […]

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