フィルムの話 LomoChrome Metropolis -沈むように溶けてゆくように-

執筆者:青狐

 フィルム沼にどっぷり浸かっている皆様も、そうでない皆様も、フィルムカメラが好きだという共通項でくくってしまえば同類項だ。ちなみに本稿は、今まで機材の説明だけだったけど、たまには違うものも紹介してみよう、ということで思い立ったのがきっかけ。

 フィルムカメラには何が必要か?答えは簡単、フィルムがないとだめだ。

 最近、日系法人においてフィルム製造の雄、富士フイルムが徐々にそのラインナップを縮小しているというニュースがあった。そのような逆風の中でも、我らがLomographyはフィルム製造を継続している。こともあろうか、2022/6にはLomoChrome Turquoiseが再販する、という明るいニュースもある。

 今回は、そんなLomographyの誇るフィルムをご紹介したい。

LomoChrome Metropolis

カメラのキタムラコラボ版パッケージ。銀の缶の中に紙袋で包まれている

 もともと、このフィルムが一般販売されたのは2020年3月。これを最初に使ったのは、たしか筆者が自身の後輩をカメラ沼に誘い込み、ズブズブハマっていく様子を横で見ていたころだった。その後輩と、今度は川越にフォトウォーク行きましょうよ、ということになり、たまたま二人とも日暮里の某寫眞機店にいたため、当時新発売!という触れ込みのフィルムをノリで購入したのがきっかけ。当時からKodak Gold 200を愛用しており、結局スキャンするんだしそんなに変わらないでしょ…とタカをくくっていた。そのため、買った後若干後悔した。だって1本1600円くらいよ?都内でラーメン2杯分くらい、現像代合わせたらもっとするでしょうよ!と心の中で思ったけど、楽しそうな後輩の手前、そんなことはグッと心の奥底にしまいこみ、素直に購入した。

 このフィルムはISOも不思議で、100-400、という妙なレンジ。購入して、箱から出すと、確かにDXコード(ISO感度がわかるバーコード)がない。まあほとんど使うの機械式だし関係ないやね…と思いつつ装填。場所ごとにISO感度変えながら撮影し、出来上がりを見てみる。そこには平行世界があった。

LomoChrome Metropolis作例

 まずは、PENTAXのZ-1PにSMC Pentax 50mm F1.2で撮影した川越の風景。

時の鐘とかいう中二病を発症させそうなネーミング
反対サイド。人の肌の色が青白くて不思議な色合い
神社のおみくじ。赤の色が見た色と違う発色をしている
神社のおみくじ。桃色だったはずが、白になっている

 一応断っておくと、カラー補正、トリミング等の加工は一切行っていない。最初に現像後に感じた印象としては、画像の粒状感というか、ざらつきがすごいなあ、ということだ。普段ISO感度200のフィルム使ってるからかなぁとか、そういうことを考えたけど、なんとも前時代的な写りをするフィルムだな、と思った。次に目を引くのは、やはり色調。説明がしづらい。色がバグってる。全体的に黄色or緑っぽい、とでも言おうか。でもなんか見てしまう、そういう配色だった。ただ、コントラスト(明るいところははっきり明るく、暗いところははっきり暗い)が明確になっている。

 続いて、LC-A+に詰め、舞浜へ行った際の写真を紹介する。

東京駅構内
影が若干ブルーグレーな感じになっている
ランドホテル。小さい頃泊まった時から変わってなくてテンション上がって水平が取れていない
イクスピアリ。快晴だったはずだが真っ白になっている
写真屋さんのスキャンミス。左側に線が入っている
多重露光もイケる

 LC-A+は、本体側でISO感度を設定するだけ。当然、ISO感度を低く設定すればシャッタースピードは遅くなる(=カメラは明るく撮ろうとする)し、高くすれば早くなる(=少ない光で撮ろうとする)ので、そこでコントロールをすることは可能。ただしこの日は快晴であり、なぜかISO感度を200とかいう安牌な設定にしており、若干明るすぎる感じは否めない。そのため白飛びしてる部分もあるが、まあそれもそれで味ということでひとつ。

 とはいえ、一眼レフ、トイカメラ、いずれの場合もしっかり色調が変化しており、かつ、コントラストがはっきりしている、ということがわかる。ちなみに補足しておくと、川越のは通常のパッケージ、舞浜のはキタムラ版で撮影。すなわち、中身にほとんど差異はないことがわかる。もし缶目当てでない場合は、シンプルに通常パッケージ版を購入する方が経済合理性があるだろう。

入手例

 執筆時現在、基本どこでも売っている。ちょっとオサレなカメラ屋さんだと必ず置いてあるイメージ。ただし、冒頭の写真に紹介した、缶に入ったやつはカメラのキタムラかLomographyの直売店でしか見かけていない。はっきり書いておくと、今フリマアプリにて定価以上で売ろうとしているものについては一切買わないこと。そもそも新品で安く買える上、ただでさえ保存に神経を使うシロモノなのに、どんなふうに保管されていたかわからないものを買うというのはもはや投機に近い。だから大人しく、仮に安かったとしても、正規のルートで購入してほしい。

おわりに

 作例が作例になっているのか怪しいところがあるが、まあ素人が撮ってもあんな風に写る、ということを示せれば合目的的でありセーフ。

 後日談を書くと、ここまでお読みいただいた諸兄諸姉はもうなんとなく察しているだろうが、結局後輩と筆者はこの後ズブズブフィルム沼に入り込んでいった。最近Portraに手を出し始めたのは内緒。

 ところで、早いものでもう12個目の記事だが、度々出てくるワード、「沼」とはなんなのか。筆者も軽い気持ちで使用しているが、おそらく、一度入ったら抜け出しづらい分野へ足を踏み入れることを沼へ入る、と形容するのだろう。でも沼だと、最悪潜水用具付けて潜れば帰ってこれそうな気もする。だとすれば、コンパスも効かない、樹海とかでもいいんじゃあないかって思う。マジで方向感覚なくなるらしいし。

 ちなみに今回のサブタイトルは、最近(といってももう2年前くらいか)流行っている音楽のタイトルからもじった。まさに、カメラ沼に沈むように、金が溶けていくように、本物の沼人は自分がさらなる深みへ行くことを厭わない、音楽の原作のような奴らだ、と考えている。でもここを読んでいる諸兄諸姉は、趣味の範囲で、楽しく遊べる範囲で、フィルムを応援していくほうが、精神衛生上よろしいのではないかと筆者は思う。何事もほどほどが一番。

 フィルムは、あなたに世界の残し方を決めさせる。

 どうかよいカメラライフでありますように。

この沼に住む人
青狐

レンズ沼、カメラ沼に誘い込む狐。フィルムで多重露光大好き。ピンボケ、露出オーバー・アンダーなんでもござれ。

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カメヌマ

コメント

  1. […] 前回は、ロモグラフィーの不思議な写りをするフィルムを紹介したが、今回もまた変な写りのするフィルムを紹介する。だってフツーの写りをするフィルムについては、この記事を読む […]

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