【Lomography】赤外線とロモクロームパープル【フイルムカメラと多少の物理】

執筆者:ゆん

 ゆんです。大好きなフイルム、ロモクロームパープルの話

 まずどんなフィルムか、通常カラーのフィルムとの比較画像

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Telyt20cmf4,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : Minoltaα303si ,Lens : Leica Telyt20cmf4,Film:Velvia100

 何とも不思議なフイルムです。

このフィルムの話をする前に、赤外線の話

 あくまでフィルムの特徴をレビューするためのものであるので、電磁気学的に正しくなかったり誤解を生む表現が多々ありますがご了承ください。
 見えている「光」といわれるものは「電磁波」のなかでも特に「可視光」と呼ばれているもので、電磁波の一種です。この電磁波には波長というものがあり波長によって呼び分けられています。

可視光より波長が長いものでは

・Wi-Fiとかで使われているいわゆる電波や、電子レンジで使われている「マイクロ波」
・人間にはぎりぎり見えないあたりの「赤外線」

可視光より波長が短いものでは、

・危ないといわれている「紫外線」
・レントゲン撮影のもっと危ない「X線」
・あかんやつの「γ線」

 というようにいろいろあるのですが、人間に見えるのは可視光のみで、上で挙げたような可視光以外の光は写真を撮るうえで気にされることは基本的にありません(見えないし写らないので…)ですがフイルムは人間の目と違って作る人のさじ加減で写ったり写らなかったりを自由にできるわけです。

 もっとも、人間に見えるものが写らなかったり、見えないものが写ったりすれば、撮影者がどうなるか予想できず使いにくいので、カラーフィルムは基本的に見たままになるように設計されているわけです。(モノクロだと、多少人間の目と違う写りをしても目立たないので、あえて赤を写らなくすることで、現像するときに赤い光なら人間に見えるがフィルムには映らなくて便利みたいなことができるわけです。)
 かなり逸れましたが、このフィルムは「可視光」に加え「赤外線」も写るフィルムで変わった表現ができる非常に面白いフィルムです。物理の話はこれくらいにしてこれでどんな面白い表現ができるかということを紹介していきたいと思います。

植物の色が変わります。

「植物の色は?」
と聞かれるとよほど拗らせた人でもない限り
「緑」
 と答えるでしょう。 ではその色というのは何なのか?それが先ほどの「波長」です。可視光の中でもさまざまな波長があるのですが、どの波長をよく反射するか?それが色なのです。 例えば、リンゴは赤いですが、それは赤色の波長をよく反射するということなのです。

 そして、次の問いです。
「植物(葉緑体)がよく反射するのは?」
答えは
「緑と赤外線」です。
人間の目には赤外線が見えないので、緑に見えているのです。ロモクロームパープルの話に戻ります。
このフイルムは、赤外線が写ります。そのため、植物は「緑」ではなく「赤外線」の色に写るのです。
意味が分からないと思うので、比較写真を載せます。(ぶれてるのは許して)

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Hektor13.5cm,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : Minoltaα303si ,Lens : Leica Hektor13.5cm,Film:Velvia100

 同じレンズで同じものを(ボディと)フィルムを変えて撮影したものです。 葉っぱが紫になっています。これがこのフィルムの特徴をもっともよく表しています。「パープル」たる所以は、「赤外線」を「パープル」として発色させるということなのでしょう。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 苔とか、マジで毒々しいです。

日陰と日向で色が変わります

 光は波長が短いほど回り込みやすいんです。普段意識していないかもしれませんが、「日向に比べて日陰は青っぽくなる」と感じませんか?ただ暗くなるだけでなく、多少青っぽくなっているというやつです。これは、日陰は直で当たっているわけではないので、「回り込みやすい」青っぽい光が強く出ているのです。つまり、赤外線は「回り込みにくい」のです。テレビやエアコンのリモコンは赤外線で通信しているのですが、しっかり正面を向けないと反応しません。これは赤外線は「回り込みにくい」からです。

body : Leica R4,Lens : Leica Summicron-R 50mmf2,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : Minoltaα303si,Film:Lomography Lomochrome Purple

……おわかりいただけただろうか
 日陰部分の葉っぱは青いままなんです。 これが単純な画像加工には難しいところで、このフィルムにしか出せないものだと思っています。

青がエメラルドグリーンに、黄色は赤に

 これは見てのとおりです。フィルムとしての色の特徴なのでしょうか?青がエメラルドグリーンになり、黄色は赤になります。植物が紫になるのと違い、こちらは単純色がシフトしているのかな?

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : ZeissIkon Contessa,Lens : Tessar45mmf2.8

 水面や空も同じようにエメラルドグリーンになります。

body : Minoltaα303si,Lens : fujinar-E 75mm ,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : Leica R4,Lens : Leica Summicron-R 50mmf2,Film:Lomography Lomochrome Purple

 先ほど述べたように通常のカラーでも日陰は青っぽくなります。このフィルムで、青はエメラルドグリーンになるので、日陰はシアン系に寄ります。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 使い方によっては冷たい表現ができる。

人工物は大きく変わらないかも

 人工物は人間の作った色ですし、赤外線の影響は受けにくいからなのか、自然のものに比べてあまり大きく変化しません。

body : Minoltaα303si,Film:Lomography Lomochrome Purple

西日はマジで赤い

 夕暮れ時の西日、これはマジで赤くなります。見てください。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple
body : ZeissIkon Contessa,Lens : Tessar45mmf2.8

 これは撮っているときの想像を裏切られた。想像以上に赤くなった。どうやら黄色が赤になるのが原因ようです。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 人工物には影響が少ないとは言いましたが、この、西日が赤くなることを知っていれば、フィルムの特性を生かした写真が撮れるかも?

まとめ

このフィルムはまとめると
・草や葉っぱが紫に
・日陰の草は青緑のまま
・青色はエメラルドグリーンに
・黄色は赤に ・西日はマジで赤い

作例です。

body : Minoltaα303si,Lens : fujinar-E 75mm ,Film:Lomography Lomochrome Purple

 像の色はあまり変わらず、後ろの芝生はマジで「毒の沼地である」

body : Leica R4,Lens : Leica Elmarit-R 28mmf2.8,Film:Lomography Lomochrome Purple

 聖地。ここも毒の沼地である。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Hektor13.5cm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 日陰と日向のコントラスト、非常に良い。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 日向と日陰の差が分かりやすいかなと何よりサイケデリックさがよい

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 いかにもな日向でないと影響は少ないかな?

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 とっても毒々しい

body : Leica R4,Lens : Leica Summicron-R 50mmf2,Film:Lomography Lomochrome Purple

 かわいい
 ISO100-400と書かれているが、ネガなのをいいことにオーバーにしすぎると毒の沼地感は減るようです。これはオーバーにとりすぎたもの。

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 マクロにも〇

body : Leica R4,Lens : Leica Elmarit-R 28mmf2.8,Film:Lomography Lomochrome Purple

 ポトレにも〇

body : Nicca3F + VisoflexⅡ,Lens : Leica Elmar65mm,Film:Lomography Lomochrome Purple

 カップルフォトにも〇

結論

 おもしろいので使ってみてね。

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