Polaroid SLR690 -沼底もまたこちらを覗いているのだ-

執筆者:青狐

 ランド博士が自身の娘の一言で開発したインスタントフィルム。前回 もそうであったように、やはり後年まで残るものは何かしらこう、開発者の執念がこもっているものが多い気がする。

 ポラロイドフィルムを扱うカメラは、最近だとSX-70が有名な気がする。あの茶色い、お弁当箱みたいな愛らしいフォルムは、チェキよりも高級感がある一方、出てくるフィルムはチェキの2枚分くらい大きいのでびっくりする。しかも最近だと、あの茶色い皮の部分も変更できると聞いた。実際、筆者の後輩もローズウッド調にして、とても品のいい機体になっている。

 はじめに断っておきたいが、このテのカメラをぶっ壊しても念写はできない。まして暗闇にアスワンツェツェバエが写ることも、筋肉モリモリマッチョマンの変態が首筋の星のアザを見せつけてくるようなこともない。おそらく。

Polaroid SLR 690

 今回は、インスタントに出来上がることで有名なポラロイドフィルムを使うカメラを紹介したい。

正面、なんかスフィンクスみたいだぁ…
正面その2

 このカメラは、所謂SX-70のようなフォルムの最終進化系のような気がする。機能面においても、レンズの上のボコボコから超音波が出て、そこから振動が返ってきた時間で距離を計測、というなんともコウモリのような使い方をするらしい。要するにAFが効くわけだ。そして最短で30cmまで寄れる便利なレンズでもって、マクロ的な使い方もできる。AFが迷うなら、MFへも切り替えられる。なんだったらフラッシュだって焚いちゃう。ただ唯一残念なのは、多重露光ができないことである。

 沼底にあるのは、みんなの夢を詰め込んだ逸品なんだなぁ…。

多彩なアクセサリー(筆者はほんの一部しか持っていない)

 個人的にポラロイドが沼になりえるのは、このようにこまごましたアクセサリ類がたくさんあるのも要因の一つだと思う。左から、SX-70用の三脚スタンド(初代SX-70は三脚用の穴がないのだ!あとストラップ下げる用の穴も!速写ケース!あああ!)、フィルムシールド、セルフタイマー。フィルムシールドは、前からマーライオンのようにベェ~っと出てくるフィルムができるだけ感光しないように、保護するためのシートらしい。だが、出てきたらすぐカバンなり、ポッケなりにしまう、という動作を身に着ければ必要ないな、と思う。持っててよかった、と思うのはこのセルフタイマー。これで正月に毎年家族で写真を撮っている。毎回写りが昭和感が出て雰囲気がある。今は令和である。

大きさはティッシュ箱くらい
フラッシュはこのスイッチで切り替える

 ソナーの部分が付いている分、若干大きく感じる。SX-70にソナーを付けたようなものだからだろうか。フラッシュ機構も備えており、暗所での撮影にも対応。全身が黒のプラスチックで作られているが、中身のミラーやソナー機構のおかげで手になじむ重さを感じることができ、安定した撮影が可能。ちなみに、右はこのカメラを入れるためだけに購入した、公式のバッグ。沼人はモノが増えることを一切恐れないのである。

Polaroid SLR 690との出会い

 そもそも、ポラロイドカメラを購入しよう!と思ったのは、筆者が海外赴任から帰ってきたその年の夏、日暮里にある寫眞機店でカメラ仲間を見つけようと喜び勇んで参加したポラロイドワークショップがきっかけだった。

 当時は、レンタルできるワークショップなのねぇ、へぇ~…と思いながら参加したが、使ってみるとまぁ面白い。このとき貸し出されたのはSX-70だった。スルスルと合うピント、明るいファインダー、そして適度な重さと、まさに写真を撮るための機械(からくり)、と感じた。結局誰よりも迷いながら8枚を撮りきったわけだが、終わる頃にはすっかりポラロイドを買った気でいたわけで。

 とはいえ、ここからしばらく色々なものが欲しくなる。海外では(怖くて)買えなかったハーフカメラだの、オールドレンズだの、カメラバッグだの…。上げたらきりがないので割愛するが、気が付いたら季節が数回変化していた。もちろん、この期間にも幾度となく検討したが、やれSX-70は沼だの、OneStepはなんか新しすぎるだの、スペクトラは見つからないだの、もう収拾がつかないくらい深い湿地帯にいた。最終的に、「できるだけ最新モデル」かつ「希少価値の高いほう」、という基準を設けた。なので、機能としてはSLR680とほぼ同じだが、日本限定モデル!とのことで、筆者はこのSLR690を買うことに決めた。ようやくモデルが決まったが、満足のいく個体を探そうとすればするほど、時間だけが経過していた。さながらポケ廃である。個体値厳選なんざもう二度とやりたくない…と毎回思うが、毎回やっているのはもはや習性であると自負している。そしてついに、ようやく見つけた。よし、これを買おう、と購入したのはその翌年の冬、聖夜の日だった。

 余談だが、早く世界が感染症から解放され、件の寫眞機店にはワークショップを開いてほしい。心からそう思う。

Polaroid SLR 690の使用感と作例

 取り回しは複雑そうに見えて実はすごくシンプル。撮影するには、まずシャッターボタンを半押ししてピントを合わせる。レンズ横の黒いゴム製のボタンを軽く押し込むと、元気よくレンズのAFが機能する。コツとしては、極力被写体を真ん中に持ってきて半押しするイメージ。意外と迷わずフォーカスしてくれるので、本当にありがたい。ピントが決まれば、グッと押し込むと、ほかのカメラ対比して大きいシャッターが動いた音とモーター駆動音がという面白い音が鳴り響く。念のため補足すると、筆者の表現はややもすると面白おかしく書いているフシがあるのであしからず。

作例はこんな感じ。

Polaroid Color 600 Film、順光で遠景
Polaroid Color 600 Film、夜景もばっちり
Polaroid Color 600 Film、夢の国(海の方)

 特徴的なのは、この写真の形。下の白い部分の、よくメモなんかを書くことがあるスペース。ここには、どうやら写真を現像するための薬液が詰まっているらしい。そのため、排出する際はこの部分をカメラ内部のローラーが潰しながら排出しているらしい。また、このカメラはISO感度の高い、青いほうのカートリッジを使うため、暗闇でもしっかり写る。ちなみに、SX-70用のフィルムは赤いパッケージに入っていて、そちらは低感度らしいが、詳細は調べてないので不明。申し訳ない。

Polaroid Color 600 Film、日暮里のとある夕暮れ。逆光は苦手

 恐らく、高感度であるがゆえに光にものすごく反応するのだろう、逆光、とくに夕暮れにはフィルムがついていけてなかったように思う。これにブラックミストか何かを付けられれば…ゲフンゲフン

 ちなみに、写真が全体的に赤(マゼンタ)に近いのは、現像される10-15分の間で、温かいところで保管していたため。この時はたしか冬で、ズボンのポケットに入れていた記憶がある。

ポラロイドとメシ

 ところで、SLR690のいいところは近接もいける、ということ。そのため、筆者はよく雰囲気のいいレストランに彼を帯同する。ほかのお客様の雰囲気を壊さず、店員の皆様の邪魔にならないよう、手ブレを我慢しながら、その素晴らしい料理を写真に収めている。以下はその一例である。

Polaroid Color 600 Film、池袋のいちごパフェ。おいしい
Polaroid Color 600 Film、秋葉原のカレー。食べログNo.1の店。カカオ?の効いているカレー
Polaroid Color 600 Film、外苑前のハンバーガー。一日10食とのこと。ボリューミー
Polaroid Color 600 Film、鉄道博物館駅のお風呂カフェのごはん。北欧

 唐突なメシテロである。これを書いている筆者も、とてもお腹が空いてきた。

入手例

 改めて筆者も探してみたが、全然出回っていない…どころか、某オクには筆者が購入した金額の3倍以上で売られている。これはひどい。いつか良心的な誰かが放流するのを待つしかなさそうだ。それでもポラロイドカメラ自体は本機より安価でたくさん流通しているので、まずはそちらから始めることもアリなのではなかろうか。あるいは、上述の某寫眞機店で定期的に見かけることもあるので、気になる方は日暮里に行ってみることをおススメする。

終わりに

 今回は、なんというか、ポラロイドの持つ歴史や多いファン層を意識してしまって、どうにも肩肘張った文体だったように思う。相変わらず文章力の低さには辟易しているが、何卒ご容赦願いたい。筆者としては、とにかくポラロイドカメラってどんなカメラ?というダイバー候補の皆様に対し、自分の感じたことを素直に伝えてみたいのだ。少しでも参考になれば幸いである。

最後に

ポラロイドの写真は、振っちゃダメ!

薬液が偏って、発色にムラができるのでお勧めしない。

…え?

それを活かした表現があるって?

それどころか撮影後のフィルムを分解して色々やって化学反応を起こす、だと…?

筆者の思っていたよりも、実はこの沼は深くて広いのかもしれない…。

どうかよいカメラライフでありますように。

この沼に住む人
青狐

レンズ沼、カメラ沼に誘い込む狐。フィルムで多重露光大好き。ピンボケ、露出オーバー・アンダーなんでもござれ。

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カメヌマ

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