――私の趣味だ、いいだろう?
はじめに
侍(さむらい)。
Wikiによれば、元々は武士(技能官人)を指す言葉だったとか。
筆者はあまり日本の歴史に詳しくないので割愛するが、武士道とは死ぬことと見つけたり(あくまでもそれくらいの覚悟が要りますよ、という心構え)、といった言葉であったり、当時の社会制度を勘案するに、侍が活躍していた時代というのは少数のサディストと多数のマゾヒストにより構成されたいびつな構造だったのではないか、と思う。現代では、侍という言葉は日本そのものを連想させる言葉として世界中に認知されている。金融の世界では、サムライ債とは海外の発行体が日本市場で発行する円建債権を指すし、似たような言葉としてショーグン債、さらにスシ債、なんてのもある。日本にはやべーやつばっかりだ、ということなのだろうか。
ハーフカメラ回は今回で二回目。
前回は、ハーフカメラといえばというレベルで絶対上がってくるくらい有名なPENシリーズからの選抜だった。実際、PENシリーズに関するブログ、レビュー記事は星の数ほど見る。なぜか?比較的修理もしやすく、なにより市場に数多く出回っているうえ、見た目がとにかく可愛い(※筆者の主観です)からだと思う。
今回の京セラSAMURAIシリーズは、生産された時期も相まって、なにかこう、見た目からバブリーな時代のかほりがする。明らかに時代を先取りしたような、未来感の強いフォルム。ビデオカメラのような使用感。オートフォーカス。先に挙げたPENシリーズとははっきり一線を画すハーフカメラである。
予め申し上げておくが、このカメラもまた非常に中毒性が高い。ハマる人は本当にハマると思う。そしてまた勘の良い諸兄諸姉は思う。30年以上前のハーフカメラは果たして現代の沼人の心を掴むことができるのか?みょうちきりんなフォルムで、満足いく撮影ができるのか?
出来る 出来るのだ——
機材紹介
先にちょろっと述べた通り、なんだかとても不思議な形をしている。前回紹介したPEN-EFを最後に、フィルムハーフカメラから撤退したオリンパスをよそに投入されたSAMURAIは、それはもう当時のハーフカメラファンの心を掴んだことだろう。特に、当時のCMを確認する限り、4.0倍ズームはレンズ内蔵型35mmカメラで初の試みだったとのことで、話題性も十分だったことだろう。





フォーカス AF
レンズ構成 12群14枚
最短撮影距離 80cm
開放F値 F3.8〜4.8
シャッター 3s~1/300
光量 GN12-14
重さ 690g
当初売出価格 69,800円
発売日は1988年12月とのことであり、PEN-EFが1981年に最後に発表したハーフカメラだとすると、7年後に発表された機種。それなりに時間が経った後に発表したからこそ、AF、フラッシュ、それまでの縦構図限定から横構図にするための設計、と、まさにやりたいことを全部盛り込んだようなカメラである。
ファインダーから覗く画面は、通常(?)のカメラ同様、横長の画面が見える。しかしこれはハーフカメラ。ネガへは2枚分、しかも横構図のものが写されていることになる。前回のラストで述べた通り、筆者は1コマずつデジタル化してくれるラボにお願いしているので、この後の作例は35mmでいうところの1/2の大きさを拡大している。だから画質が悪い、と感じるのはある種仕方がない事なのだ。
なまくらと申したか。
余談だが、この京セラ SAMURAIシリーズは、最初は3倍ズーム、次いで4倍、その後はZ、最後に廉価版のZ2、という順で発売している。なお、3倍ズームのCMについては、なんとあの世界的ピアニストである坂本龍一氏が出演していた。ここだけの話、筆者はあのCMを見てこのカメラの正しい構え方を知ったので、是非一度特徴的なあのポーズをYouTubeで見ていただきたい。それはおよそ一切の流派に、聞いたことも見たこともない 奇怪な構えであった。
出来ておる喃(のう) 京セラは…
作例
以下の作例は、すべてKodak Gold 200にて撮影。
最近ではなぜか高級フィルム扱いされているが、2,3年前はこれ36枚撮で500円以下だったんだよなぁ…。



梅雨の王子駅そばにある飛鳥山公園の紫陽花を撮りに行ったときの写真。曇りであったため全体的にコントラストが弱いのかな…?と思ったがおそらく筆者のSAMURAIのレンズが曇っているだけだった。
ぬふぅ(悔恨)






こちらは、最近サンリオピューロランドへ行った際のスナップ分。周囲の皆様がミラーレスやらスマホで撮っている中、デジイチとSAMURAIで参戦した筆者はさぞ浮いたことだろう。作例について言えば、ハーフカメラ、というより昭和~平成の境目のカメラ、といったようなノスタルジーさが前面に出たような仕上がりになった。…というよりやっぱりAEが弱すぎてフラッシュが絶対に焚かれる。これはこれで好き。昭和が終わる頃の侍は、武士道についての志(こころざし)を持っていたのだろうか。
武士道はシグルイなり。
入手例
当時は市場を席巻した…という記述はネットの海によく散らばっているが、いかんせん筆者が生まれる前の事、ホントかどうかはわからない。実際、現在中古市場に出回っているものは少ないが、頑張れば見つかるレベル。仮に見つかっても、あんまり状態としては…というものばかり。結構見かけたらラッキー、ぐらいに思っていればいいかもしれない。ぶっちゃけAFも迷うこともあるし、AE弱いし…と、ネガキャンしちゃったけど、やっぱりそれでもフォトウォークとかに持っていくと沼人感出せるしホントオススメ。だって今時あんなビデオカメラ型フィルムカメラなんて売ってないわけで。しかもハーフとかいう親切設計。なんというか、おそらく来なかったであろう近未来を想像できる作り。
大体、構えがこう、右手で支えて左手で右手側のテレワイドボタンを操作する…という、どちらかといえば左右ではなく上下に持つタイプのカメラというだけでもう相当ヤバい。シャッターは右手の方で半押しして焦点決めた後押し込んで切る、というこのあたりの時代のフィルムカメラの動き。先に述べた通り、やっぱりAFが今のモノと比べると遅く感じる。ウイィィィィン、というモーター音も哀愁が漂う。
侍とは、武士道とは、シグルイなのだ。
おわりに
今回は相当本体のネタ要素が強く、文章どうしようか結構迷った。
ホントはサブタイトルに書いたように、鎧武ネタとか入れようと思ったのだが、思いのほかシグルイ要素が強くなりすぎた…。ていうかインパクト強すぎるだろ若先生…。
それはさておき、今回のはわりと前から書きたかった機材。ただし一本が70枚以上のフィルムであり、自粛ムードの中、数少ない撮影機会をとらえて結構作例出すのも大変だったりする。
もう少しこう何というか、手心というか…
痛くなければ覚えませぬ。
カメラはあなたを自由にする。
どうかよいカメラライフでありますように。
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